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日本の海外援助は妥当なのか。大学一年生の調べ学習(大学レポート)

大学に入り初めてレポートという課題を出された時に作ったレポートです。

 

日本の海外援助は妥当か

現在の日本では早急に解決しなければいけない数多くの問題が存在している。例えば、少子高齢社会に関する年金問題、未だに完全な復旧を成し遂げられていない東日本大震災の被災地復興問題、国民が想像している以上に多い日本人の貧困問題、などである。これらは主にお金が関係している問題である。つまり、お金に余裕があれば解決される問題なのである。そこである疑問が生まれる。日本が海外援助しているお金を日本人のために国内で使うことができれば日本のお金に関する問題は少し解決できるのではないか、なぜ日本政府は国内の困っている人よりも海外で困っている人を優先するのか、ということである。

そこで、なぜ日本は自国内に多くの問題を抱えているにも関わらず今もなお外国への援助をするのかというリサーチクエスチョンをたてる。

 これに対する仮説は3つある。

  1. 日本は過去に大きな援助を受けていて先進国となった現在、海外からしてもらったことを同じように経済が危機的な国へしているのではないかということ
  2. 現在GDP3位の日本が世界への貢献をせずにどの国がするのかという使命感を持ち率先してやっているのではないかということ
  3. 海外支援により日本になんらかの利益がもたらされているのではないかということである。

 

 1つ目の仮説の妥当性を示す。

この検証に際して第二次世界大戦後の日本の復興に大きな影響を与えたいくつかの要因について注目していきたい。

まずは、ガリオア・エロア資金である。1946〜51年、約6年間にわたって日本が受けたガリオア・エロア援助の総額は、約18億ドルであり、そのうちの13億ドルは無償援助(つまり、返済義務のないお金をもらったということ)であった。現在の価値に換算すると、約12兆円(無償援助は9.5兆円)となる大量の援助であった。このガリオア・エロア資金という援助がなければ日本の戦後復興は成し得なかったのである。

次に、ララ・ケア物資である。これらも第二次世界大戦後の日本復興のための海外からの援助である。内容としては、多くが民間人や民間団体からの資金や物資の提供であり、食料品、菓子、コーヒー、紅茶、砂糖、石鹸など日用品も含めた多くのものであった。ケア物資は約5000万ドル(現在の貨幣価値に換算すると約4000億円)に達した。

また、戦後の多くの子どもたちは栄養失調や病気に苦しんでいた。それを救った機関がユニセフである。ユニセフは、日本の子供たちのために約65億円(現在の貨幣価値で約1300億円)もの資金を提供した。

さらに、経済的支援だけでなく人材教育としてフルブライト留学制度をアメリカは実行した。それにより戦後以降の日本を担っていく人材を多く輩出し発展を促したのである。

 以上のように海外の当時のおおく先進国が日本の戦後復興のために資金はもちろん、教育までも支援をしたのである。

 

 

2つ目の仮説の妥当性を示す。

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上の図(参考:外務省ODA実績)は2007〜2016年の主要国のODA(政府開発援助)実績の推移である。一見すると日本は低くとも4位にいることがわかり、ODAの実績は悪くないのではないかと思われる。

次に、下の図(参考:外務省ODA実績)の主要国におけるODAの国民一人当たりの負担額を見てみると日本は21位である。もちろんODA実績が日本より高い3国はこの場合でも日本より上位に位置している。日本はODA実績は上位だが国民一人当たりのODA負担額は実績に対して大きく下位に位置している。

つまり、日本は国際社会における経済力や地位からするとこれよりも大きな期待が見込めるということだ。仮説の時点では既に世界を先導して海外援助をしているものだと思っていたが、実際はそうではなかったと言うことに気づいた。

また、経済状況が厳しいのだからしょうがないという考えもまた理由にはならないことが他国のODA事情からわかった。厳しい経済状況の中でもODAを増額している国もあるのだ。例えば、イギリスは歳出削減を行いながらODAを増額させている。フランスも厳しい財政状況だがODAは増加傾向にあるのだ。なぜこれらの国はODAへの意識が高いのかというと、それは国民の関心の高さと支持の多さであるようだ。

 3つ目の仮説の妥当性を示す。

世界的な問題となっている感染症の観点から検討する。感染症の多くは環境の悪い発展途上国を発生地域として世界中に広まる恐れがある。そのため、日本人が感染症にかからないようにするには発展途上国の環境問題を解決する必要がある、つまり、ODAによる支援を通してその国を支えていくことにより日本への感染症を防ぐということにつながるのだ。

また、日本の支援が感染症撲滅の一部に貢献した例として小児麻痺を引きおこすポリオという感染症対策が挙げられる。

さらに、新たな感染症の取り組みの例として東アジアで流行するSARS(重症急性呼吸症候群)への対策が挙げられる。日本は流行国へ経済的支援や救助隊を送るなどした。それにより、東アジアから日本の支援を高く評価された。また、各国からの評価もまた日本の利益の一つになると思われる。日本への評価が良ければスムーズに話が進むこともあるのではないかと思う。

以上のようにODAを通して日本の利益にもなることがあるということがわかった。

三つの検証の結果、以下のことがわかった。まず、戦後復興のための外国からの多くの援助を受けていた歴史により日本の海外援助は全く妥当である。次に、日本の海外支援は決して他国を率先しているわけではなかった。そして、日本の海外支援は自国への感染症を防ぎ、各国からの印象の向上にもつながる利益がある。

このリサーチクエスチョンを調べる重要性は、改めて海外援助について調べ地球全体で助け合うということの目的を知ることと同時に日本のお金の使い方の一例を知ることができるということであったようだ。

 

参考文献:

早わかりODA https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo/11_hakusho/hayawakari/hayawakari.html (2019 7 5 入手)

外務省ODAのちょっといい話https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/hanashi/story/1_2.html (2019 7 5 入手)

外務省ODA実績https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki.html(2019 7 5 入手)

感染症の脅威とODAによる対策 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo/06_hakusho/ODA2006/html/honbun/hp102050000.htm(2019 7 5 入手)