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世代別選挙区制度を取り入れるべきだと思う。大学一年生の考え。

テーマは世代で考える選挙である。

『プレゼンテーションでまとめたスライド8枚』
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本文


 少子高齢化が進む現在の日本の政治家は高齢者に向けた政策を多く掲げている。

最近上がった消費税も嘘か誠か分からないが社会保障の税収にするためだと政治家は言っている。

イギリス功利主義者のベンサムの言葉にもある“最大多数の最大幸福”という考え方から現状を見ると高齢者という最大多数のための政策が日本の社会全体の最大幸福だといえるが果たしてそれが正しいことなのだろうか。

政治家にとって選挙に当選することが第一目標であることは間違いないことであるが、発言力のある高齢者の意見にだけ耳を傾け、高齢者を重視した政策を掲げなければいけないのだろうか。

私たちのような若年層は少子高齢化社会の中のマイノリティーだから、自分たちのことはないがしろにされてもしょうがないと思ってしまったら、若年層が選挙に行く人はいなくなってしまう。

 

 しかし、高齢者向けの政策だと嘆いている若者たちの投票率は高齢者よりも低い。

そのような状況下で現状を嘆いても投票率が低いから悪いのではないかと言われざるをえない。

そこで、若者VS高齢者という極論的であまり現実味がないかもしれない構図ではあるが、その構図を考えた場合に若者が選挙にどれくらいの割合参加すれば少子高齢化社会の中で高齢者側の政党の意見を変えることができるのかということについてデータを用いて調べる。

 

 このテーマのパズルは、どれくらいの若年層が選挙に投票すれば現状の老年層と同じくらいの得票数になるのか?である。

具体的には、現状の高齢者の投票数と得票率を操作した若年層の投票数が等しいときの若年層の得票率を調べる。

 

 このパズルに対する私の仮説としては、八割くらいの若者が投票すれば高齢者の現在の得票率の中で同じくらいの投票数に追いつくのではないかと考える。

 

 仮説の検証をするために総務省のサイトから得られたデータを用いる。以下の表は直近の第48回衆議院選挙(H29 10月)の年代別の得票率と選挙時の年代別人口をまとめ、得票者数を算出したものである。

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出典:総務省統計局 人口推計 平成29年10月報 / 総務省 国政選挙の年代別投票率の推移について

 

 この表を用いて現状の高齢者の投票数と得票率を操作した若年層の投票数が等しいときの若年層の得票率を調べる。以下の表は若年層と高齢者の境界線を設け、その2つのグループの得票数が同じになるような若年層の得票率を理想%として総人口から算出したものである。

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若年層と高齢者の境界線を設けるにあたり、そもそも若者と言われている世代はどこで定義は何なのか考える必要があった。

年金問題などの選挙の論点から境界線を決めようかと思ったが今の選挙において大きく世代によって意見が二分化しているわけではなくとても難しそうだったため、今回に関してはおおまかに40歳と50歳のラインを設けることにした。

 

 まずは40歳のラインを設けたときを考える。

40代未満の総人口は約2750万人、40代以上の現状の投票者数は約4785万人である。このときの理想%は174%である。

つまり、40代未満の人が全員選挙に参加しても40代以上の現状のだいたい60%ほどの投票率のときの投票者数は上回ることはできないのである。

この線引きはあまりデータとしてよろしくないと思ってしまった。なぜならば、平均寿命約80歳から考えると確かに40歳はちょうど真ん中の数字ではあるが投票権があるのは約20歳であるため実際に真ん中で区切っているとは言えないからだ。

 

 次に50歳のラインを設けた時を考える。

50代未満の総人口は約4640万人、50代以上の現状の投票者数は約3783万人である。このときの理想%は82%である。

つまり、50代未満の人のうち82%が投票に行けば50代以上の現状のだいたい65%ほどの得票者数とやっと同数になることができるということのになる。50代未満の世代の投票率を現状から82%にするにはそれぞれ20代はプラス約48%、30代はプラス約38%、40代はプラス約29%上昇させる必要がある。

昭和42年の衆議院選挙では20代が70代以上の投票率である56%を上回り66%もの投票率を記録しているのだから、昔にできて今にできないことということはないはずである(1)

しかし、高齢者の方が選挙の大切さをより理解しているせいか昔も今もほぼ変わらず年代が高いほど投票率は高い傾向にある。

 

 仮説の結果としては、世代の境界線の決め方で大きく変わるがどちらにせよ投票率を大きく上げなければ、高齢者と若年層は同じ投票者数にならないということがわかった。

 

では、若者は選挙にいっても無駄なのかという疑問が浮かんでしまうがそれは違うのではないかと思う。若い年代が投票に行くという行為が大切であり、政治家に若者の存在を意識させる必要がある。

みんなが投票に行きたがらないならば投票そのものを義務化させてしまえばいいのではないか、そう思ったため海外で投票が義務化されている国を調べてみると、投票しない時の罰則適用が厳格な国はオーストラリア、シンガポール、スイス、タイなど他にもたくさんあった(3)

しかし、義務化されてしまえばそれこそ高齢者の割合が高いため若者はマイノリティーになってしまうことは必然となる。その問題点に関してはもう認めざるを得ないと思うと同時に高齢者が多い社会で多数派が優先されることは義務制度の中では皆が納得できるようになるかもしれない。実際に投票義務化が実施されている国の若者はその制度を好意的に受け止めているようである。

さらに、そのような国では全ての人が投票するため、病院や介護施設での投票の他にも、郵便投票や視覚障害者に許可される電話での投票などが実施されている。単に罰金を支払うのが嫌で投票するのではなく、誰であっても投票しやすい環境が整備されているのである(3)

 

 さらに、このレポートを作るにあたってデータをいろんな角度から見ることが大切であることが分かった。

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上の図は青色の帯グラフが世代別の投票率、赤色の折れ線グラフは世代別の投票者数(万人)を表しているグラフである。投票率のグラフを見ると一番投票率の低い世代と一番投票率の高い世代の投票率の差はおよそ2倍である。しかし、投票者数のグラフを見ると一番投票者数の低い世代と一番投票者数の高い世代の投票者数の差をおよそ3倍である。このグラフからわかることは百分率と実際の数という2つの視点から見比べるだけでも大きく見えかたが変わるということである。この差が生まれる原因はもちろん日本の少子高齢化によるものであることは明白である。

日本では他にも一票の格差のような選挙に関する多くの問題を考えている。そのような問題にアンテナを張り、一人の日本国民としてしっかりと日本の選挙のあり方を考えたいと思う。

 

参考文献

(1)総務省 選挙 国政選挙の年代別投票率の推移について

http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/

(2)総務省統計局 人口推計 平成29年10月報 

https://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/201710.pdf

(3)「日本の若者が投票しないのが不思議です」。投票が"義務"の国の若者はこう考える。 https://www.buzzfeed.com/jp/kensukeseya/australian-1